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山本 裕康

山本 裕康 やまもと ひろやす

日本チェロ協会理事

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  1. 日本チェロ協会会報 第55号 (2020年4月14日)より

1. 近況を教えてください
チェロコングレスが終わった後、びわ湖ホールでの「神々の黄昏」に参加しておりましたので、丸々3 週間京都とびわ湖におりました。ただ公演自体はコロナウィルス感染防止という事で中止となりYouTube での生配信と言う事になりました。

・YouTube での生配信、いつもと違う感覚はありましたか?
お客様がいらっしゃってもいらっしゃらなくても、演奏する事には何も変わる事はなかったですね。当たり前ですが、幕が閉じる時に拍手がないと言うのはありますが、やはりそのカメラの向こうには聴いてらっしゃる方々がいる訳ですからね、基本ほぼ何も変わらなかったです。

2. チェロを始めたきっかけを教えて頂けますか?
弟( 現在都響コンサートマスター) が最初バイオリンをやっており、何か僕もやりたいとは思っていたのですが、同じ楽器はやっぱり嫌で何かないか探していた時父親が「チェロと言う楽器がある」と言うのでチェロを選び始めました。9 歳か10 歳頃だったと思います。

3. 一番ワクワクするときは、どんなときですか?
ワクワクですかぁ。。旅の仕事から帰る途中に( 猫ちゃん達に会える) と思った時ですかね。あとは最近はポッパーのエチュードを練習していてほんの少し精度が上がった時かな?

4. 先日のコングレスの感想をお聞かせください
バッハの無伴奏の1 番と桑野聖さんの作曲した《おでかけゴブリン》の2 曲を演奏させて頂きましたが、会場で聴いてらっしゃるお客様のほぼ9割がチェロを弾かれる方で、しかも僕が学生時代試験やコンクールで審査されていた先生方が勢揃いされた中での恐怖感は言葉には表せないほどでした。( ホントに舞台の真ん中まで歩いて行けるのか? ) と思ったくらいです。《おでかけゴブリン》は昔からの友人でバイオリニストの桑野さんに作曲を依頼したのですが、昔から彼の曲は好きでしたし、いつか曲を書いて欲しいと思っていましたが、なによりも彼の生き方にずっと尊敬してきました。彼はポップス等のレコーディングや大物アーティストのツアーなどで活躍していますが、本当に心優しく、最近では社会的弱者のためのコンサートをしたりもしています。そして社会に対して、とりわけ差別や偏見に対しての強い想いに僕も強く共感していましたので、チャンスだと思い今回曲を依頼しました。バッハの1 番を弾いてから弾く無伴奏をとお願いしましたので、これからも1 番を弾く時は必ず演奏したいなと思っております。そして多くの方に弾いて欲しいと思っております。

・新作に挑戦する時に心がけていることは?
出来上がって来たのが1 月の半ばでしたので、まずは指遣いや弓を決める事に必死になりました。そして部分的に楽譜に書かれている指示をとにかく身体に入れようと練習してました。12 音や無調で書かれた曲ではないので、逆に間違いは初演と言えどもお客様に分かってしまうと言う怖さはありました。新しい曲に挑戦するときは、音源は絶対に聴かない事にしてます。新曲はもちろん音源がないので聴く事は出来ませんが、既存の曲も本番まで聴きません。

5. プロのチェリストを目指している学生や若いチェリストに望むことはありますか?
そうですね、こんな時代だからこそ強く生き抜いて欲しいと思います。それはまず精神的に自立する事、常に我々は社会と関わっていくわけですから世の中を冷静に見て常に自分の考えを持って欲しいと思います。日本の事を知るために海外に行き、外から日本を眺めて欲しいです。多様な考え方を知り日本の良いところ悪いところを自分なりに見つけて欲しいですね。その自分の言葉が音楽につながると思いますし。当然語学も身につけて欲しいです。自分で限界を設定せずに思いっきり勉強してほしいと思います。